マーケティング開発室長は、「衣料品の販売に逆風が吹いている中で、顧客への提案力を高めることが不可欠」と指摘、着物を「洋服感覚」で売るという新しい発想が、ざん新な提案につながると強調する。もともと、「スティル・ドウ・キモノ」自体も、和服の常識をかなりはみだしている。帯は裏表どちら側でも使えるようにし、襟や袖に色のアクセントをつけることで、着慣れない儒絆を付けなくても構わないようにした。従来の和装の世界から見れば、「あれは着物ではない」というシロモノだ。しかし、開発した東レは、「着物本来の形を変えてでも、着る楽しさを訴えないと、着物に関心のない女性は決して興味を持ってくれない」(課長)と割り切った。これまで、和服が売れないのは斜陽産業だからと鼻で笑っていた洋服の業界も、あまりの販売不振に、これまでの売り手本位の商品企画や販売スタイルでは、今の消費者は見向きもしてくれないことにようやく気が付いてきた。