「正午発って覚えやすくていいね」切符をつくっている間、職員にいった。「そう、だから二十年前から同じ時刻に出発なんだ」「二十年前……」そのときはさして気にも留めなかったが、バスが出発し、しばらくすると、それがどういうことを意味するのか教えられることになる。満席にならずに二十台近いバスが同時に出発したのだが、途中の町の前になると、生きた心地がしないような先陣争いが繰り返されたのだ。二十台が狭い道で抜きつ抜かれつを演じ、乗っている僕らは、「路肩が崩れて転落するのではないか」、「あ、ぶつかる」と手を握ることになる。
[注目サイト]
鬼怒川温泉の温泉・露天風呂のある宿・ホテル - じゃらん温泉ガイド
http://www.jalan.net/onsen/OSN_50086.html
いなとり荘 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad346795/
コート・ホテルズ・アンド・リゾーツのホテル一覧 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/biz/group/CHAIN0044.html
なぜ、そこまでして先を争うのかといえば、途中の町にバスを待つ客がいるからだった。先に到着すれば、その客を乗せることができ、収入が増えるのだ。町を通過するたびに起こるカーチェイスに、僕は天を仰ぐことになる。「だったら、発車時刻を三十分とかずらしていけばいいんじゃないのだろうか」しかしインド人はそれをしないのだ。二十年このかた、同じ時刻にバスを発車させていた。そういえば、日本を出発するエアインディアも、僕の記憶にある限り、十年以上、週二便、同じ曜日の同じ時刻に成田空港を出発していた。マイレージプログラムにもあまり興味がないようで、世界の航空会社を巻き込んでいるグループ化も高みの見物である。インド−理解不能な経済感覚に支配された国に入り込んだようだった。その現実を、バスの旅で思い知らされることになるのだった。