前期試験の一日目で感じた「結局最後は自分一人でやらなきゃいけない」という気持ちが、このままではいけないという思いにつながりました。親が知らない、何もしてくれないところで、一度自分の決断を下してみたくなったのです。「わたしが親なら一発殴る」と反対する友達もいて、帰ってきたら殴られるかも、とひやひやしながら置き手紙を書きました。それを自分の部屋の机の上に置いてこっそり夜中に家を出て、東京行きの高速バスに乗りました。翌朝の十一時頃、携帯電話に母から電話がかかってきました。「あんた今何時だと思ってるの。いい加減降りてきて朝ごはん食べなさい」どきどきしながら出たのに思わず吹き出してしまいました。「わたし、今、東京だから。わたしの部屋の机の上を見て」と言うと、「変なこと言ってないで、早くしなさい」と電話を切られてしまいました。けれど三分後にまた電話がかかってきました。「あんた、これ何?」今度はうってかわって低い声でした。滞在先は手紙にも書いていなかったのだけど、それだけは白状するように迫られたので、教えて電話を切りました。家族からの電話はそれ以降一度もありませんでした。