長所を伸ばせば短所も小さくなる

2011-08-25

最近のお子さんは積極性に欠けるとよく言われます。それは私たち現場の教師も感じることですが、その原因の一つは、日常生活の中で、お子さんに自信を持てるような経験をさせていないからだと思います。積極性がなくて困っているというお母様方にいろいろお話を聞いてみると、家事を手伝わせる、お買物を一人でさせるなど、お子さんに何もさせていないのです。これでは積極性を持てというほうが無理です。子どもというのは必ずいい面を持っています。小さいことでもいいから自信を付けさせていいところを伸ばしてやれば、不思議なことに、欠点たった部分が小さくなってしまうのです。Bちゃんという子がいました。引っ込み思案な子で、Bちゃんと名前を呼ぶと、先生の顔は見るのですが、お返事ができない。もう一度呼ぶと、やっと小さな声ではいと答えるような有様でした。名前を呼ばれても返事ができなかったり、蚊の鴫くような返事しかできないのでは、受験ではやはりマイナスです。Bちゃんは、幼稚園の年少のとき、私どもの教室に入ってきたのですが、ペーパーテストでは非常に成績がいいのです。ところが、引っ込み思案で自分から率先して何かをしようという積極性はありません。お母様としては、何とか積極性を身につけさせたいというのが、私どもに対する希望でした。Bちゃんに変化が見えたのは、私どもの教室に入って半年ぐらい経った年長の夏頃です。箱根合宿(後述)でみんなで花火をしたのですが、その時、Bちゃんが、花火の後始末のためのゴミ箱を準備してくれたのです。教師がそう教えたわけではありません。「Bちゃん、よく気づいて偉いわね。ありがとう」そうほめたら、それ以後、何事にも積極的に取り組めるようになりました。要するに、人に役立つ行動が自からできて、ほめられることによって自分に自信がついたのです。Bちゃんは見事、聖心女子学院初等科に合格できました。子どもは、経験を一つひとつ積み重ねながら成長していきます。その折々にほめられることで大きな自信を得て、次のことにチャレンジして行きます。ですから、動作がのろいとか、引っ込み思案だとか、そういった短所ばかりを見るのではなく、のんびりしているけど丁寧にやるとか、引っ込み思案だけどお友達には親切だとか、いい面を見つけてそれを認めて、ほめてあげてほしいのです。そうすると、自然と短所と思われてきた部分も直ってくるものです。引っ込み思案の子どもに対して、もっと積極的になりなさいと叱っても直るものではありません。叱ればなお消極的になります。どんな小さなことでも、できたときはほめる。そして子どもが自分から変わることをじっと待つ。そういう指導ができるのも、教師に子育ての経験があるからです。